あの日のこと

もう12年も経つのか。
あの光景をニュースで目にした時の、あの何とも表せない虚脱感。
倒壊し粉々になり落ちて行くビルの音が体内に聴こえて来る様な気すらした。
同じだと。
属する宗教的な団体が何処であっても、それに狂喜し傾倒した輩の理屈と言うのは全て同じなのだと感じた。
自らが狂心する神〜教祖〜指導者などの教義に陶酔し、自己崩壊だけに留まらず無関係の人までもを巻き込む彼ら独自の正論。
「その存在の為には何をしてもいい」と。
それは侵略以外の何ものでもないのに。
人間だからこその支配と依存の関係であると気付けない輩。




はっきり憶えている。
当時住んでいた独り暮らしの自宅で、あの翌朝までに♪ノワールドの歌詞を書き上げた。
同じ類の狂気を持つ輩達へのレクイエム。
ただただ現実世界を歌った。
それ以上ない黒い色。Noir.
その黒には全ての色が混在していたはずなのに、ある線を越えるとただの黒になる。
それを強いられた人は虚脱し絶望する。
そして後に怒りを抱え、最後の最後に悲しみを初めて実感するのである。
そこに到達してようやく、彼らには決して届くことの無い信念を突きつけることができるのだ。
在る環境で可能な限りの術を見出して生きる。World.




12年の歳月。
個人的経験では24年の歳月。
本当に様々なことが起きている。
世界中でも自分の中でも。




私がよく知る悪魔は、未だにメディアを通じ下種な高笑いを称えた目でこちらを見ている。
どんなに避けていても、ふとした瞬間まるで追いかけるかのように飛び込んでくる彼女の名。
彼女の顔。
金欲・色欲・名声欲をあの歳でも尚ぎらつかさせることが出来るのは賞賛にも値する。
それが彼女の、同種の輩の信念なのだろう。
そこに取り込まれ怪物と化した人もまた、そこに同調し依存する因子を生まれながらに持っていたのだ。
その因子を持ち合わせていなければ、そもそもその黒い世界には傾倒しなかったはずだ。
つまり悪魔の登場はきっかけでしかない。




だから・・・もう怨みは無い。
これ以上無い軽蔑はしているが怒りはほぼ無い。
悲嘆と恐怖を体感することは度々あるが、彼らには共感しようが無いのだ私には。
現実世界がただただ黒くなければ、白い灯りにも気付けないし灯りとして成立しない。
Noir + World = Noirld.
これ以上でも以下でもない完全なる融合。




毎年どうしても昨日〜今日と、1並びの不吉な日は噛み締めずにはいられない。
そしてあの旋律に改めて変わらぬ愛を。
それも私の信念の一部だ。