スフィンクス

23時3分、満2歳になった。
おめでとう。
そしてありがとう。




未だに嘘なんじゃないかと思う。
こんなに綺麗な可愛い子が私の息子だなんて。
毎日そう感じている。
忘れもしないあの日、21時半になろうという陣痛室で私が呼吸困難に
そも巻き添えを食らった赤ちゃんの心音が低下(完全に医療ミス、酷い産院だった)。
急きょ予定日当日に帝王切開になった。
麻酔が今ひとつ効ききらない状態ではあったが恐怖はなく、この期に及んで
「赤ちゃん本当に来てくれるのだろうか」とすら頭をよぎっていた。
じつは夢か何かのいたずらでメロンか何かが埋め込まれているのではとも
思っていた。
わざわざ私を選んで降りてくる奇特な子が居るなんて、奇跡としても信じ難い
ことだったからだ。
でも夢ではなく、本当に‘彼’は私の目の前に登場し、産声をあげた。
独りで狭い場所に居たから、突然びっくりしただろう。
夢みたいで「初めまして」ととりあえず挨拶したけれど、心の中では「驚かせて
ごめんね」と・・・。




あれから2年、てこてこ小走りで「でっしゃ!」と窓から電車を見に駆けて行き、
「ママ〜」と台所まで出て来ては「おか〜り!」「かぼちゃ」「いっちっごっ」と
リクエストしている。
喘息気味ではあるけれど、13.95kg/83cmと日に日に大きく元気。
何となく会話らしい言葉の交流も増えて、小走りで突進してきては私の頭に
「い〜こ〜い〜こ〜」と手を当ててくれたりする。
夢みたいだ。




目下の悩みは歯磨き。
大好きな電車DVDを見せたり、歯磨きの歌を歌いながら試みるも、全力で嫌がる。
毎晩とにかく苦痛な時間。
彼にとっても私にとっても。
申し訳ないのと苛立ちとが交差し、おまけに夜がどんどん近づき、毎晩とにかく
つらい。
でも磨かないわけには行かない。
私のように永久歯に生え変わらないで乳歯のまま過ごす場合も想定すると、
やっぱり大切にしないと駄目だと、毎日葛藤する。
何でこうも私は器が小さいのか、情けない。




誕生日のこの日は土曜保育のお迎えから帰って来て、2人で小さな(ほんとに小さな)
PARTYをした。
しらすと大好きなかぼちゃ&オクラに、パプリカや玉ねぎ等色んな野菜を使った
ドリアとスープ、そしてお気に入りのケーキ屋さんのフルーツタルトがキラキラ。




大切な‘彼’と、きちんと2人で早く生きられるようになりたい。
しっかりと多くの意味で守れる母と成りたい。
どうか安全で幸せな3歳を迎えられるように。
いつも‘彼’に守られているのは私の方だ・・・
器の大きな、心の強い母と成らねばいけない。